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書評:ピアニストの脳を科学する - 超絶技巧のメカニズム

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2012年12月22日

ピアニストの脳を科学するこのサイトをご覧の方で、ピアノを弾いている人は多いでしょう。そして、ピアニストのリサイタルに行くのが好きな方も多いでしょう。

私は自分でピアノを弾きますし、ピアノに限らずオペラや演奏会は大好きです。

そして一流の演奏を聴く度に、いつも思うのです。どうやってあんなに上手に楽器を演奏するのだろう?と。

「ピアニストの脳を科学する」を読んでみた

ピアニストがリストやラフマニノフの超絶技巧の曲を弾く時、1分間に数千回の打鍵をすることもあるそうです。本書ではそれを可能にする脳と体のメカニズムに、科学的な見地からアプローチしています。

8章からなる本書は、どの章も大変興味深く、ピアノ演奏をする人ならどれも面白い内容でしょう。私が特に、個人的に面白いと思った内容をまとめてみました。

  • 実際のピアノ練習ができない時、イメージトレーニングだけでも効果がある
  • 幼少から14歳くらいの訓練で、ピアノ演奏の脳幹を鍛える
  • 指が速く動くのは脳から神経への指令が速いから
  • ピアニストは省エネで疲れない

実際のピアノ練習ができない時、イメージトレーニングだけでも効果がある

本書の中で一番興奮を覚えた内容がこれでした。

イメージトレーニングというとスポーツの世界ではよく聞く言葉ですが、ピアノの練習にも効果があるのです。

実際にハーバード大の教授が実験をしたデータがあるようで、内容は以下の通り。

ピアノを弾いたことのない人を以下の3つのグループに分け、

  1. 5日間、毎日2時間ピアノを練習する
  2. 5日間、毎日2時間、ピアノを弾いている自分を具体的にイメージする
  3. 5日間、何もしない

データをとります。

一番上達したのは、もちろん1番のグループですが、面白いことに、2番目のグループも、上達が見られたそうです。ホロヴィッツやルービンシュタインも、ピアノが弾けない状況で、イメージトレーニングをしたそうなので、楽譜や鍵盤を想像して、自分の指がどう動くかを具体的に想像することは、効果のあるトレーニングだそうです。

社会人になってから憧れていたピアノを始めたけど、仕事でなかなか練習する時間がとれないという人には朗報でしょう。

幼少から14歳くらいの訓練で、ピアノ演奏の脳幹を鍛える

ピアノ演奏において、右手を動かす時は左脳が、左手を動かす時は右脳が、それぞれ機能するそうです。

ピアノ演奏では両手を同時に動かすので、右脳と左脳の連絡がスムーズでなければならない。

このスムーズな連絡は練習を積み重ねて速くなるのですが、脳が成長する幼少から14歳くらいの時に、ピアノの練習をたくさん行うことで、連絡通路そのものが大きくなるそうです。

そして、成人してからいくら練習を重ねても、この連絡通路自体が大きくなることはないそうです。大人になってからピアノを始めた方には残念なお知らせですね。

でも安心してください。大人になってからでも、例え連絡通路そのものが大きくなることはなくても、その通路で伝達速度を早めることはできる。どんなに年をとってから始めた練習でも、必ず効果はあるのです。だから諦めないで、ピアノの練習を続けましょう。

指が速く動くのは脳から神経への指令が速いから

ある道の達人になるには1万時間の訓練が必要という旨の本を読んだことがあります。

楽器、スポーツ、語学、料理。どんな道でも膨大な基本パターンがあり、先ずそれを身につける。そしてそれらを自在に操り、事を成す。

ピアノの場合、練習することで、指の筋肉が発達して速く動くのではなく、指に対する脳の指令が、速く、正確に出るようになるそうです。

訓練で神経を伝達する指令が洗練されていくのです。結果としてピアノを上手に弾けるようになるのですね。

ピアニストは省エネで疲れない

親指が内声の4分音符で鍵盤を押さえながら、4と5の指で旋律を弾くということはしばしばありますね。

この時の親指ですが、訓練されたピアニストは、一度鍵盤を押さえた後は全く力が入っていないそうで、一方、アマチュアは鍵盤を弾いた後も力が残っている。こういう実験データがあるのです。

よくピアノの先生から「脱力」と言われるのはこういうことですね。ピアニストは難曲を何時間でも続けて演奏できるのは、こういう要所要所での省エネの結果だそうです。

指を速く動かすことや、強い音を出す練習に夢中なうちは難しいですが、省エネを意識して練習するのも大事なことです。

でもいくら「脱力」と言われても、できないものはできない場合が大半ですけどね。。。

終わりに

いかがでしたか。面白い部分を一部をピックアップして内容の紹介と感想を掲載しました。ピアノ練習中の方、指導者の方、何かのヒントになるかもしれません。ぜひ読んでみてください。

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シロトリュフ @ShiroTruffe | Webコンサルタント・シロトリュフ

神奈川県横浜の生まれ。職業ウェブコンサルタント。好きなものはワイン、シャンパン、美味しい食べ物、クラシック音楽。自己紹介はこちら

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