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ピアノ協奏曲

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2010年1月 2日

ショパンは若い時期に2つのピアノ協奏曲を残している。不思議なことにこれ以降はピアノを協奏曲を作曲していない。

第1番 ホ短調 作品11

この傑作はショパンが弱冠20歳の時のもの。絢爛豪華なピアノの技巧を駆使しながらも、その音楽は極めて甘美である。"練習曲 作品10" と近い時期に作曲されただけあって両者には類似性が認められる。この協奏曲は 急-緩-急 という伝統的な形式書かれている。

ピアノは常に音楽の主導権を持ち、オーケストラの役割は伴奏程度に留められている。初演はショパン自身のピアノで行われ大成功を収めた。派手で男性的な音楽となっている。

第1楽章 Allegro maestoso ホ短調

オーケストラの長大な序奏の後、ピアノソロが待ちかねていたかの様に強烈な和音を奏でる。しかし、そのすぐ後には極めて情感豊かな、かつピアニスティックなパッセージがくる。これが二回繰り返される。

この最初のソロはこの曲全体の性格を見事に表しているように思えてならない。華麗さと繊細さとが見事に融合して素晴らしい音楽を形作っている。

そのすぐ後には新たな旋律が現れる。これも若きショパン独特の美しさを持っている。この旋律はホ短調である。続く第2主題はホ長調。この旋律は直情的で、 調は透明感を持つホ長調である。ここの伴奏は"ノクターン 変ロ短調 作品9ー1"とそっくり。そして極めて華麗な展開部へと続いていく。華麗で細かい音の中には情熱的な旋律が潜んでいる。面白い個所を見つけた。

右楽譜の音型は後のピアノ・ソナタ第2番の第2楽章においても、また英雄ポロネーズにおいても同じ音型が見られる。この部分には病的さは存在しない。そしてホ短調の第1主題が長調に転調して現れる。

この再現部の微妙な変化はまさにショパンの天才さを物語っている。同じ旋律を用いながらも極めて幻想的で即興的である。この即興さがこのピアノ協奏曲の魅力の一番大きな要素であると私は確信する。終結部は展開部と同様に情熱的で技巧的である。

第2楽章 Romanze ホ長調

私の最愛の曲の一つ。その春のような明るい、しかし哀しい美しさは他に例えるものがない。オーケストラの序奏の後にピアノソロがくる。ピアノは次第に音を多くしていき、変奏曲の形式でその複雑さを増していく。ホ長調の部分が落ち着くと今度は情熱的な音楽になる。

次の譜例を見ていただきたい。未だかつてこんな響きがあったろうか。曲の終わりの方ではオーケストラが主旋律を奏でながらも、主導権を握るのはやはりピアノである。細かくピアニスティックな部分はショパンのセンスの良さが窺える。

第3楽章 Rondo ホ長調

やはりオーケストラの序奏の後にピアノ・ソロによるロンド主題が奏される。このロンドは陽気で"クラヴィアコク"というポーランドの土着の舞曲である。確かにここには第1楽章にも、第2楽章にもなかったショパンの民族性が顔をだしている。ピアノは技巧の限りを尽くし華麗さを表現する。下の譜例のリズムに注意してみると、

上の第2楽章の譜例のリズムを全く同じ音型であることが分かる。こういうマジックはあらゆる作曲家においてしばしば見られる。ロンド主題は現れる度に調性を変えている。ここにはショパンの病的さは一切感じられない。コーダは圧巻です。


第2番 ヘ短調 作品21

この協奏曲にはショパンの青春の想いが詰まっている。若き日のショパンの像が窺える貴重な作品である。繊細さ極まるピアニズム、旋律、和声の融合が得も言われぬ魅力を形成している。曲の背景にあるものは、初恋の相手コンスタンツィア・グラドフスカへの想いである。内向的なショパンは愛を打ち明けることななどはできなかった。

そして行き場のない想いが曲に昇華されたのである。作曲されたのは1829年。翌年の3月にウィーンにてショパン自身のピアノで初演された。

第1楽章 Maestoso

第1楽章は半音階を基調とした旋律が繊細なピアニズムと共に展開される。旋律は常に消え入りそうなうす白い青色、ちょっと押しただけで折れてしまいそうな華奢さ、これ以上ないくらい繊細でうぶである。

これがショパンの得意とした半音階のピアニズムと相まって最高のピアノ音楽を形成する。ここにある全ての音符は全てショパンの言葉そのものである。

第2楽章 Larghetto

ショパンの青春そのものである。これは最上のノクターンの一つであり、愛の詩である。言葉を用いなくとも愛情の表現はできることをショパンは証明したのである。旋律の美しさは文句なしに絶品である。

しかし、中間部では突然激しい嵐がやってくる。この自由な語法はまさにショパンそのもの。ショパンは若い頃から晩年至るまで、一貫して独創性において飛びぬけたものがあったのだ

第3楽章 Allegro vivace

非常に素朴なワルツのような、マズルカのような曲。第1楽章同様に繊細さに満ちたピアニズムで展開されるが、音楽の性質上軽さが加わっている。

フィナーレだけあってショパン自身の腕前を披露するような華麗なパッセージが数多く登場する。これもまたショパンの若き日の一面を伝えるものである。コーダは当時のブリリアント奏法がどのようなものであったかを伝えてくれる。

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シロトリュフ @ShiroTruffe | Webコンサルタント・シロトリュフ

神奈川県横浜の生まれ。職業ウェブコンサルタント。好きなものはワイン、シャンパン、美味しい食べ物、クラシック音楽。自己紹介はこちら

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