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マズルカ

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2010年1月 2日

マズルカとはポーランドの最も郷土色の濃い舞曲の一つ。厳密にはポーランドのマゾヴィア地方が起源らしい。もともとは8分の3拍子のやや遅めの音楽であったらしい。しかしやがて4分の3拍子が標準となった。ショパンは祖国のリズムを使ってその生涯に60曲のマズルカを残した。3拍目にアクセントのあるリズムは、マズルカだけでなくショパンのおよそあらゆる曲に、その要素を見出すことができる。

特にワルツなどにマズルカ化した曲がある。それはショパンが例え祖国を離れていても、常に故郷を思っていたという感情の現われではないだろうか。マズルカにはショパンの魂が宿っていると言えるだろう。このマズルカには華やかな技巧の世界は無い。しかしショパンの最も直接的な感情が表出して、ショパンの音楽の中でもとくに純粋無垢な音楽となっているように思う。

マズルカの演奏に関しては、ホロヴィッツより味わい深いピアアニストは他にいないと思う。とりわけホロヴィッツの晩年のマズルカの演奏は、本当に素晴らしい。

マズルカ 第1番 嬰ヘ短調 作品6-1

作品6は全4曲から成り、故郷ワルシャワを出る直前に作曲された。素朴な構成だがショパン独自の憂いに満ちた旋律、情熱的な部分は交錯し、かなりの魅力を形成している。当然と言えば当然だが、全体的に若さを感じさせる曲である。

マズルカ 第2番 嬰ハ短調 作品6-2

短い序奏があり独特のリズムが刻まれて最初から楽しい曲である。そしてマズルカらしい旋律が登場する。

マズルカ 第5番 変ロ長調 作品7-1

作品7は5曲から成り、1830年前後に作曲された。この第1曲はショパンのマズルカの中でも特に有名なものである。明るく楽しい旋律と、明快なリズムがその要因である思われる。

マズルカ 第7番 ヘ短調 作品7-3

不気味な序奏で始まる。控えめながらも情熱的な主題に入り、やがてその情熱さは増していく。その後左手にも旋律がくるが、これも極めて情熱的である。短い曲だが、緊張感に満ちた独創的な曲。数多いマズルカの中でも傑作の一つと言っていいと思う。

マズルカ 第13番 イ短調 作品17-4

マズルカの中、というより全ショパンの作品の中でも特に不思議な響きを持つ曲。これほど印象深く、独創的な曲はそうは無い。中間部はイ長調に転調し穏やかな音楽となっている。曲の終わりは情熱的である。かなり斬新な響きで今なお新鮮である。憂いに沈んだような、瞑想に浸るような旋律が実に印象的である。

マズルカ 第17番 変ロ短調 作品24-4

これも独創的なマズルカとなっている。和声、リズム、色彩感の独創性が素晴らしい。この物憂くも激しい情熱を内に秘めたかのような音楽には本当に魅了される。マズルカの舞曲らしいリズムを前面に押し出したような個所が登場する。中間部にはコラール風の音楽が登場し、一筋縄ではない魅力に溢れている。

マズルカ 第20番 変ニ長調 作品30-3

ど派手で単純なマズルカ。構成が明確で分かりやすい。こういう音楽もまたショパンの多才さを物語っている。

マズルカ 第21番 嬰ハ短調 作品30-4

マズルカの中では傑作に数えられる。極めて重厚な響きと情熱とが融合し、素晴らしい音楽を成している。特に中間部の盛り上がりは魂を揺さぶられます。曲の構造(性格)が7番のマズルカと類似している。かなり洗練された音楽。

マズルカ 第23番 ニ長調 作品33-2

一番有名なマズルカ。華やかな旋律とリズムの簡素さが人気の理由である。この曲を聞くとマズルカのリズムの特徴がよく分かると思う。

マズルカ 第25番 ロ短調 作品33-4

有名なマズルカ。旋律が特に独創的。とりわけ左手に旋律がくる所は、なんだかひそひそ話しをしているかのよう。一変して焦燥感に駆られたような音楽になる。この独創的な旋律の部分とイライラしているかのような音楽が二度繰り返され、長調の哀しい旋律が現われる。その後極めて華やかな音楽を経て、最初の旋律に戻る。終わり方も不思議。自分で弾くと結構飽き易い曲。

マズルカ 第31番 変イ長調 作品50-2

優雅で貴族的なマズルカ。魅力的な序奏と旋律を持っている。中間部はマズルカが舞曲であることを思い起こさせてくれる。バラード 第3番 変イ長調、マズルカの第37番 変イ長調とこの31番、これらの曲にはいずれも調性と貴族趣味が、共通点として挙げられる。

マズルカ 第32番 嬰ハ短調 作品50-3

マズルカとしては大曲に数えられる。手の込んだ曲で内容は充実している。その最大の特徴に対位法が挙げられる。大好きな曲で自分でよく弾く。コーダはめぐるましく転調し、色彩感豊か。明らかにバッハの影響がある。

マズルカ 第34番 ハ長調 作品56-2

この曲も傑作。旋律、リズム、どれをとっても素晴らしい。特に出だしのリズムは本当に面白い。わずかに対位法が顔を出す。本当に好きな曲の一つ。バッハを想起する個所がある。

マズルカ 第36番 イ短調 作品59-1

作品59は3曲から成っている。作曲されたのは1845年で、晩年の作品である。どの曲も揃いも揃て傑作である。イ短調の作品59-1は見事なまでの転調に彩られている。短い曲の中で何度もその表情を変える。香りをどんどん変化させるワインと、どこか共通点がある。この転調は、その後の音楽の性格を予告するものであろう。脆く移ろいやすい印象の曲だがどこまでも純粋な曲である。その美しさは初期の甘美なものとは異なり、どこか死を悟った様なものを感じ取れる。

マズルカ 第38番 嬰ヘ短調 作品59-3

嬰ヘ短調の作品59-3はショパンのあらゆる要素が盛り込まれた傑作。ショパンの天才さが最高度に発揮されている憧れの一曲。情熱的な旋律はしびれるものがある。

マズルカ 第41番 嬰ハ短調 作品63-3

ショパン自身で出版した最後の曲。物憂くも愛らしい旋律を持っている。コーダはカノンとなっており、その効果は印象的である。

マズルカ 第44番 ハ長調 作品67-3

極めて愛らしい旋律で親しみやすい。演奏は決して難しいものではないが、実は三度や六度の重音があって以外と弾きにくい。音楽は極めて透明な響きである。

マズルカ 第45番 作品67-4 イ短調

やはり晩年の曲。極めて素朴であるが、決して単純ではなく、中間部の美し さは例えようがない。ここにも白鳥の歌のような要素が認められる。

マズルカ 第49番 へ短調 作品68-4

ショパンの絶筆。1849年の作品だけあって、当時のショパンの衰弱ぶり、絶望がこの曲を聴けばよく分かる。ショパン特有の繊細さ、脆さと半音階的な音楽で、ここにはもはやマズルカの舞曲的要素は認められない。

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シロトリュフ @ShiroTruffe | Webコンサルタント・シロトリュフ

神奈川県横浜の生まれ。職業ウェブコンサルタント。好きなものはワイン、シャンパン、美味しい食べ物、クラシック音楽。自己紹介はこちら

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