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ワルツ

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2010年1月 2日

ショパンのワルツはショパンの作った作品の中でも特に優雅で気品に満ちたものである。ショパンはヴィーンに旅行した際、当時流行のシュトラウスのワルツ、すなわちウィンナワルツにはあまり感心しなかった。繊細なショパンには当時のワルツはかなり品のないものに思えたのであろう。

しかし、ショパンはワルツそのものを否定したわけではなく、あくまでウィーン風のワルツが嫌なだけであった。そしてショパンは実際にワルツを書いている。ショパンのワルツは舞踏目的ではなく、あくまでもショパンの個人的な感情を、ワルツの形式を借りて表現したものである。

初期の作品には舞踏を意識した作品はあるが、晩年をワルツなど、ほとんどマズルカのようなところがあり、ワルツ形式の詩といっていいであろう。その親しみやすさから、ショパンの作品の中でも最も人気のある作品の一つである。シューマンは「もし踊るのであらば、相手の婦人は少なくとも伯爵夫人でなければならない」と述べている。

ワルツ第1番 変ホ長調 作品18「華麗なる大円舞曲」

1831年作曲。このワルツはショパンの中で、最初に作曲されたものではないが、最初に出版されたので第1番となっている。若い頃の作品で明らかに舞踏を意識している。曲は明るく、健康的で、明瞭で、華麗である。しかし単純なワルツではなく、ショパンの独特の官能的な部分も見られる。ショパンの作品中でも特に有名な作品の一つ。

ワルツ第2番 変イ長調 作品34-1 「華麗なる円舞曲」

作品34のワルツは3曲から成っており、いずれも優れた曲である。第1番のワルツと同じ性格の曲であるが、このワルツは一段と円熟しており、優美である。魅惑的な序奏は16小節から成っており、ピアニスティックである。主部の旋律は極めて美しい。作曲は1831年。

ワルツ第3番 イ短調 作品34-2 「華麗なる円舞曲」

ワルツとしては異例の"レント"の指定がある。マズルカのような曲で、円舞曲というよりショパンの詩である。物憂い曲調であるが、2度顔を出すイ長調の部分には憧れがある。序奏部の旋律は左手で奏される。最後に序奏と全く同じものが繰り返される。ショパン自身この曲をとても好きだったらしい。1831年作曲。

ワルツ第4番 へ長調 作品34-3 「華麗なる円舞曲」

1838年に作曲されている。作品34は最初の2曲と最後の曲では7年の隔たりがある。この曲で踊れる人がいたなら、間違いなく世界最高峰の踊り手になれる。猛烈に速い曲で、右手は無窮動風の旋律を持つ。その性格から「猫のワルツ」と呼ばれることもある。猫が鍵盤の上を走り回っていることを連想させるからである。この曲の演奏で1985年のショパンコンクールのブーニンの演奏よりいい演奏を聴いたことがない。冒頭の不協和音は当時としては極めて新鮮であった。

ワルツ第5番 変イ長調 作品42

1840年の作品でかなり円熟した作品であうる。ワルツであるが、旋律は内声を持つ2拍子となっており、その円熟ぶりが窺える。序奏はトリルで始まり印象的である。コーダはすこぶるピアニスティックであり、曲中には緊張感が存在する。間違いなくショパンの最上のワルツである。

ワルツ第6番 変二長調 作品64-1

ご存知「子犬のワルツ」。1846年作曲。ショパンの晩年の作品の中では際立った生命力が感じられる。完璧な演奏技術がなけければ、この曲の細かな表情を表現できない。速く弾くのが目的ではなく、音楽表現のために速く弾くのである。音色にも細心の注意を払うべきである。

ワルツ第7番 嬰ハ短調 作品64-2

ショパンの国民性が滲み出ており、マズルカに近い。前曲と同じく晩年の作品で、どうしようもない苦しみが表出している。ここには希望の光はない。中間部は変二長調に転調し、えも言えぬ美しさであるが、それはショパンの苦しみが昇華したものである。これはもはやワルツではない。ショパンの魂が叫んでいる。それがたまたまワルツの形を借りているだけである。

ワルツ第8番 変イ長調 作品64-3

前曲と異なり極めて明るく快活である。驚くべきはその色彩感。めぐるましい転調に彩られている。またリズムも面白く、中間部では一瞬ワルツリズムが失われたかのような錯覚に襲われる。輝きに満ちた異色のワルツである。作品64はほぼ同じ時期に作曲されているが、ここまで表情の異なる曲を作曲するショパンの才能は、我々の想像を遥かに超えたものである。

ワルツ第9番 変イ長調 作品69-1

1835年に作曲された。当時恋愛関係にあったマリア・ヴォンジスカとの別れ際に、ショパンはこの曲を彼女に渡したと伝えられている。結局は二人は結ばれることはなかった。曲はやるせない半音階で始まり、旋律の優雅さは他に比すものがない。まさにショパンが書いたものである。
ショパンはこの曲を生前出版することはなかった。自分の思い出として大事に机の奥深くしまいこんでいた。

ワルツ第10番 ロ短調 作品69-2

1829年の曲。ショパンが若い頃の曲で、旋律は美しいが、とりたてて独創性のある曲ではない。演奏技巧が易しくピアノの学習者がよく弾く曲である。

ワルツ第11番 変ト長調 作品70-1

1835年に作曲された。アルペジオと幅広い跳躍が盛り込まれて華やかな曲調となっている。中間部は美しい。名曲ではあるが、やはり独創性に欠ける。

ワルツ第12番 へ短調 作品70-2

1841作曲。甘く感傷的な曲。旋律の美しさの他には特に言うことはない。二部形式で書かれているのは珍しい。

ワルツ第13番 変二長調 作品70-3

1829年の作曲で、ピアノ協奏曲第2番と同じ頃に書かれた。初恋のコンスタンティア・グラドコフスカを想いながら書かれた曲で、憧れに満ちた美しい旋律。作品70の中では最も若い時期に書かれた曲であるが、最も優れた曲である。

ワルツ第14番 ホ短調 遺作

上記の曲と同じく1829年の作曲。短調ではあるが華麗な技巧を要する仕上がりとなっている。中間部にはトリオが置かれている。コーダはかなりピアニスティックである。

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シロトリュフ @ShiroTruffe | Webコンサルタント・シロトリュフ

神奈川県横浜の生まれ。職業ウェブコンサルタント。好きなものはワイン、シャンパン、美味しい食べ物、クラシック音楽。自己紹介はこちら

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